2018年に民営化した Osaka Metro では、新しいチャレンジや、イノベーションを起こそうという機運が高まり、FileMaker と iPad の導入を決めた。様々なアプリが検討されたが、現場を知っている者がアプリを開発したほうが現場の使いやすいアプリになると考え、簡単に開発ができる FileMaker を選定した。
技術指導やサンプルファイルの提供でユーザ開発をサポート
FileMaker による開発は運転課が中心となって行い、寿商会では環境構築を始め、システムの信頼性・可用性を高める点での技術的なサポートを行う体制とした。基本的な開発技術習得については自学習が中心。クラリスが提供する「FileMaker Master Book」で一通りの FileMaker 技術を習得し、わからないところはインターネットで検索してほとんどのことが解決できたという。FileMaker の応用的な技術については寿商会の技術コンサルティングを実施して補強。また LINE WORKS との連携や、eラーニングシステムなど高度な技術を要するカスタム App は寿商会が開発した。
主なシステム
・始業点呼管理システム
・運行情報通知システム(LINE WORKS 連携)
・アルコールチェックシステム
・eラーニングシステム
また、開発環境や利用環境はクラウドサーバー(FileMaker Cloud for AWS)とし、トラブル時に早期解決できるようにサーバーの死活監視を2重に行っている。
情報共有・業務効率化など、短期間でイノベーションを実現
始業点呼管理システムでは、これまで乗務所の係員に対して、口頭で持ち物・就寝時間・掲示物の確認等・始業の点呼を行っていたが、これらを iPad で行うことによりその時間をかなり短縮することができた。
運行情報通知システムでは、運行情報を FileMaker から LINE WORKS の API を通じて、1000台超の iPad へ一斉に通知することで、1時間前にどんなことがあったかなど振り返ることができ、情報共有に役立っている。
アルコールチェックシステムは、iPad とアルコールチェッカーを Bluetooth で接続し、チェックした時間・数値・確認者が自動で登録できるようにし、業務効率化だけでなく、確実に本人がチェックした記録が残るようにした。
eラーニングシステムは、乗務員への試験問題の展開から受験履歴・採点までをシステムで行うことができ、管理者の業務が大幅に削減できたほか、受験者も iPad で効率よく受験できるようになった。
必要と思う方が自分が使いやすいように必要なものを作ることが最大のポイント
これだけのシステムを1年で稼働させることができたのは、現場を知っている者がシステム開発した点が大きい。必要と思う方が、自分が使いやすいように必要なものを作ることが、より使いやすいソリューションになる最大のポイントになった。そのためのツールとして、柔軟で容易に開発できる FileMaker がマッチしたと考えている。
Osaka Metro では、さらなるサービスや安全性の向上のためにイノベーションを起こしていかなければならないと考えており、これからも FileMaker、iPad を活用して次世代の鉄道システムを構築していく。
基本情報
業種 | 鉄道事業者 |
---|---|
ユーザー数 | 約1,200名 |
システム構成 | FileMaker Server FileMaker Pro FileMaker Go FileMaker iOS App SDK(FIAS) |
ハードウェア | iPad 1150台 MacBook Pro 2台(開発用) Windows PC 200台 FileMaker Cloud for AWS |
他システムとの連携 | LINE WORKS との連携(API 接続) アルコールチェッカーアプリとの連携(Bluetooth 接続) |
開発期間 | 約1年 |