対象者: Claris FileMaker 開発者(中級〜)
Claris FileMaker 開発者の皆さん、こんにちは!「FileMaker のデータをWebで見せたい、入力させたい」という要望、これまで何度も応えてきましたよね。WebDirect、PHP や Data API を使ったカスタム Web、Google フォームと API 連携など、方法は色々ありましたが、どれも一長一短。「もっと手軽にできれば…」と感じたこと、一度や二度ではないはずです。
そんな私たちの長年の悩みを解決する、まさに「待ってました!」と言いたくなる新機能が搭載されることが明らかになりました。それが Claris Studio との新しい「シームレスな統合」です。
これは単なる機能追加ではありません。FileMaker を中心とした Web ソリューション開発の考え方を根本から変える可能性を秘めています。この記事では、新しい連携機能が一体何がすごいのか、どうやって使うのか、そしてどんな場面で活躍するのかを、徹底的に解説していきます!
これまでの連携(ESS+)とその課題
まず、これまでの連携方法を軽くおさらいしましょう。Claris Studio のデータを FileMaker 側で参照する方法として、「ESS をベースにした参照 (ESS+)」という仕組み(いわゆるシャドウテーブル)がありました。
これはこれで便利でしたが、一つ大きなポイントがありました。それは、「データソースはあくまで Claris Studio 側にある」という点です。そのため、FileMaker 側で利用するには一手間必要だったり、FileMaker と連携ができない格納データタイプがあったり、トランザクションが組めない、大量データの扱いに課題があったり、あとは、もうこれぐらいにしておきます。
新機能「シームレスな統合」とは? FileMaker のテーブルが主になる連携
今回発表された新しい連携は、この主従関係をひっくり返します。つまり、使い慣れた Claris FileMaker のファイルが正真正銘のデータソース(主)になるんです。
主なポイントは以下の通りです。
- FileMaker データを Studio のデータソースとして直接追加:
Studio 側でわざわざデータテーブルを作る必要がなくなりました。 - 双方向の連携・同期:
FileMaker 側でデータを追加・更新すれば、即座に Studio のビューに反映されます。逆もまた然りです。 - スキーマ変更も同期:
なんと、FileMaker 側でフィールドを追加したり変更したりすると、その変更が自動で Studio 側にも同期されます。
1点だけ欠点があるとすれば、FileMaker Server 側がインターネット側からアクセス可能な環境にしておく必要がある点です。そうではない場合は、従来からの Studio 側は Studio のデータソースを使用し、 FileMaker Server からは Claris Connect を経由して定期的に同期をとるなどが必要になります。
実践!データソース接続から Web フォーム作成まで
設定は簡単です。
- Studio でデータソースを追加:
Studio の管理画面から「データソース」を選び、FileMaker Server のホスト情報、ファイル名、アカウント情報を入力します。 - テーブルを選択:
接続が成功すると、ファイル内のテーブルが一覧表示されるので、使いたいテーブルを選ぶだけ。 - ビューを作成:
あとは Studio の通常操作で、そのデータソースを使って「スプレッドシートビュー」や「フォーム」など、好きなビューを作成します。 - Web で入力・即時反映:
作成したフォームを Web で公開し、データを入力して送信すると、リアルタイムで FileMaker 側のテーブルにレコードが作成されます。
Claris Studio の得意分野と限界(重要ポイント)
Claris Studio も Web の万能アプリケーションではありません。得意不得意を理解して使い分ける必要があります。
- Web フォームからのデータ収集(問い合わせ、アンケート、申込受付など)
- 会員向けとか取引先のみとか、アカウントとパスワードでサインインできた人だけがアクセス可能な簡易なデータベース
- インターネット上に公開する簡易的なデータの一覧表示(イベント参加者リスト、商品情報など)
- PHP や Node.js などで作り込むような、複雑な業務ロジックを持つカスタム Web アプリケーションの完全な代替とはなりません。
- あくまで FileMaker のデータを「活用」するための Web インターフェースと捉えるのが正解です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。Claris Studio との新しい「シームレスな統合」は、Claris FileMaker のデータを Web に公開するためのハードルを劇的に下げてくれる、画期的なアップデートです。
まずは、身近な「問い合わせフォーム」や「社内アンケート」などから、この新しい連携機能を試してみてはいかがでしょうか。開発の可能性が大きく広がることを、きっと実感できるはずです。
当ブログでは、この他にも Claris FileMaker 2025 のリリースに関する様々な記事を公開しています。
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