いよいよ明かされる new stuff !
藤本です。
Claris Engage Beyond 2021のキーノートセッションで仮に”new stuff”と呼ばれていた、
現在開発中の新ツールについて、11/17にその詳細が紹介されました。
“new stuff”とは?
まず、Product OwnerのRobert Holsey さんが、開発方針と実際のデモを行いました。
- 従来、新しいワークフローツール(Visual Workflow, Claris NextGen, etc.)と呼ばれて来たもの
- 画面遷移の定義と、各画面レイアウトのレイアウト配置を、Webブラウザ内で行う
- 現在のクイックスタートエクスペリエンスの進化版にも見えます
特徴
- Webブラウザで動作する開発環境
- 最新のWeb標準に沿ったアプリを作成できる。
例えば、名前フィールドでブラウザが履歴から入力候補を表示、
電話番号を自動的にフォーマット、
テキストが溢れたらフィールドが自動的に縦にのびる、など - FileMaker Proのようにドラッグ&ドロップで作成でき、簡単にデプロイできる
位置づけ
- 現在のFileMaker Proは、不特定多数がデータを入力するWebページを簡単に作成できない
- WebDirectは、最新のWebテクノロジー(DOM, HTML)に対応できていない
- まずはその弱点を補完する専用ツールとしてリリースする
- 少しずつ機能をリリースし、ユーザのフィードバックによって今後の開発の方向を決めたい
Q&A
後半は、技術担当VPのPeter Nelsonさんが視聴者からの質問に答えました。
Q.1 結局、new stuffとは新しいFileMakerなのか?
A.1 別の製品。FileMakerと併用して使うもの。
不特定多数からのデータ収集など特定の目的に適した、モダンなWebアプリを作れるツール。
データをFileMakerと同じバックエンドに集めることができる。後処理をFileMakerが引き継ぐなどが可能。
Q.2 FileMakerからのマイグレーション方法はあるか?
A.2 FileMakerと併用して使うものなので、マイグレーションの必要はない。
ポイントは、2つのツール(FileMakerとnew stuff)でデータを共有できること。
Q.3 (通信環境の制約などで)オフラインでの利用は可能か?
A.3 ニーズがあるのは理解しているが、最初からはオフライン機能は提供されない。その場合はFileMakerを使ってほしい。
Q.4 FileMaker Proクライアントは今後も引き続き提供され、進化していくか?
A.4 はい。
Q.5 既存のWebサイトの部品として機能できるか?
A.5 優先度の高い課題として認識していなかったが、できない理由は特にない。
Q.6 最終形に行き着くまでにはまだ時間がかかると思われるが、完成版と例えば3年後と今の状態を比較したらどのような違いがあるか?
A.6 すぐにFileMakerを置き換えることはない。Web向けに最適化されたUI画面を作るためのツールとして、当面は(for a number of years to come)併存し続ける。
Q.7 Cloudオンリーなのか、On-Premでも提供されるか。Cloudオンリーであれば、どこでホストされるか。
A.7 Cloudホスティングがまず優先されるが、その後On-premでも提供される。現在はGoogle Cloud Platformで動くよう設計されているが、AWSやその他のデータセンターでも問題なく動くだろう。
Q.8 FileMakerとnew stuffのデータ連携方法は?
A.8 データを完全に共有する。FileMakerはCloud上のMongoDBにネイティブに読み書きできるようになる。同期ではなく、双方からの直接アクセスになる。
Q.9 ライセンスはどうなるか? 現在は不特定数のユーザ向けのライセンスがないが。
A.9 その問題があることは完全に理解している。これから解決しないといけない。
Q.10 WebDirectと比較して、どれくらいスケール可能か?
A.10 まだ正確にはわからないが、WebDirectとは比較にならないほど大量のアクセスに対応できる。スケーリングが問題になることはない。
Q.11 Claris Connectとの連携は?
A.11 技術的、ライセンス的な検討を進めている。CEOはボトルネックの排除を求めていて、今よりもシームレスな連携が求められる。
Claris Connectはワークフローエンジン、オートメーションエンジンであり、Webからの入力後、電子メールやSlackなどとの連携ニーズはある。Claris Connectとの連携は重要。
Q.12 エンドユーザはMongoDBの内部へアクセスできるのか? 直接の読み書きは可能か?
A.12 まだわからない。最初はユーザからは隠蔽されているが、どのような使われ方をされるかによって、どこまで開放するかを考えたい。
Q.13 今日デモされたツールはいつから使えるようになるか?
A.13 内部ではすでに使っているが、まだ開発中でFileMakerとのデータ連携ができていない。数ヶ月内に公開の予定(we are months not years away)。
Q.14 デモされた「Webからのデータ収集」の次に想定されるユースケースは?
A.14 データ可視化機能(例:ダッシュボード)など。ゆくゆくはカスタムAppを構築できるようにしたい。
例えば、学校運営に必要なすべての機能(授業、生徒、成績、ランチスケジュール、出欠などの管理)やそのレベルの複雑さのものを簡単に構築できるようにする予定。
Q.15 new stuffとWebDirectの今後の棲み分けは?
A.15 WebDirectは元々デスクトップ体験をWebで再現する目的で開発されており、Webの最新技術のDOM,HTMLのルールに従っていない。
new stuffはWebでの入力と表示に最適化されている。
今は併存するが、今後機能を向上させながら、どう活用の幅を広げていけるかを見ていきたい。
Q.16 new stuffは市場ニーズにどう対応しているか?
A.16 標準技術をベースにすることは、IT部門への売りになる。早くデプロイできる。開発に必要な技術習得が容易になる。
Q.17 マルチリージョン、CDN、シャーディングに対応しているか?
A.17 今までは対応していなかったが、今後は可能になる。
最初からはMongoシャーディングをサポートしないが、いつか3~4ノードでのシャーディングをサポートしたい。
Q.18 FileMakerと比較してレコードロックの仕組みはどうなる?
A.18 別のしくみになる。最初はロックは行わず、ACID特性はサポートしない。その代わりに、今までよりも格段に高速なスループットを実現する。
そのため、開発手法を違うものとして考える必要がある。
ファイルベース(NoSQL)は、テーブルベース(SQL)と比較して機能が劣るという指摘があるが、それはごく限られた場合で、99%の場合はファイルベースの方が性能がいい。AWSはファイルベースでシャーディングを行っている。
この変更に対応した開発手法に関して、コミュニティに情報を提供していく予定。
Q.19 デモにあったように、単純なドラッグ&ドロップで開発できるということか?
A.19 そのとおり。不特定多数からデータを集めるWebポータルをFileMakerで作るのは難しいが、このツールで簡単になる。
しかし、すべてが簡単になるわけではなく、ある用途ではnew stuffの方が簡単で、また別の用途ではFileMakerの方が簡単ということがありえる。Web向けでどのデバイスでも動く見た目のいい画面を作りたい場合、new stuffが向いている。
実際に触れるまでにはもう少し時間がかかりそうですが、楽しみに待ちたいと思います。