Claris FileMaker Server 19.6 新機能まとめ

本社の若林です。
ようやくこのネタを書くことができました。
年末年始は時間があるあると思ってもいつの間にか過ぎてしまいますね。

FileMaker 19.6 祝 リリース

2022年12月に 19.6 はリリースされました。
目玉の「トランザクション」機能については、
先にブログに大連載で公開しております。

待望の トランザクション スクリプト登場
待望の トランザクション スクリプト登場 Part2
待望の トランザクション スクリプト登場 Part3
(実は Part4 以降も計画中)

その他バグ修正は100を超えるとのことです。
リリースノートにはその一部が掲載されていますのでご確認ください。

Claris FileMaker Pro 19.6.1 リリースノート
Claris FileMaker Server 19.6.1 リリースノート

今回はもりだくさんだぞ FileMaker Server 19.6

FileMaker Server に関しては 目立つトランザクション機能やバグ修正にとどまらず、
細かいけど「かゆいところに手がとどいた」新機能が盛りだくさんです。
本投稿ではその中でも重要なアップデートと個人的に位置づけしている機能をご紹介します。

もくじ

  • ハードウェアスペック
  • OS
  • Apple でサインイン
  • クローンのみ バックアップ
  • データベースのフィルタ 初期値有効
  • 管理者の役割
  • FileMaker Data API で dateformats 引数
  • PKI 認証
  • データベースサーバーが停止した場合でも、Admin Console にアクセスできる
  • Admin Console および Admin API への IP アドレス制限
  • Ubuntu OS にて カスタム Web 公開 with XML がサポート
  • Ubuntu OS にて サーバーでのPDF作成高速化

ハードウェアスペック

これまでの FileMaker Server のハードウェアスペックはざっくりいうと、
CPU:2-core、Memory:8GB
が最低であり推奨スペックとされてきました。

これは WebDirect を使わないときの推奨スペックです。
WebDirect を使用するときは想定接続クライアント数に応じてスペックアップしてください、
となっていましたが、その辺は曖昧になっていました。

また、FileMaker Pro や FileMaker Go クライアントのみが数十〜数百台接続する場合、
スペックアップしてもあまり効果はありません。
FileMaker Pro や FileMaker Go クライアント の接続は、
サーバーにあまり仕事をさせないような設計思想になっているためです。

今回の 19.6 では曖昧だったハードウェアスペックの必要条件が示されました。
Claris FileMaker 19.4 〜 19.6 動作環境

CPU:4-core が必須(英語では Minimum )となりました。
たしかに現在の FileMaker Server は、サーバー上のスクリプト実行、Admin API、スケジュール実行、パラレルバックアップ
など独立したサービスがいくつも起動して忙しいので、4-coreは妥当なスペックかなと思います。

一方で 推奨(Better)、最良(Best)はどういう意味で推奨しているのかまでは記載がありません。
おそらくですが、 WebDirect を使うならという推奨、最良じゃないかなと思っています。

CPU と メモリー使用率を弊社で比較検証したところ、
19.4.x と 19.6.2 でもほぼ同じでした。
ということは、以前と同じ設定で使用するのであれば以前のハードウェアスペックでも問題はないと思っています。
これはもしかして近い将来のバージョンで追加される機能への布石として、
「これぐらいのスペックを準備しておいてね」というメッセージなのかもしれません。

OS

必要な OS も今回いろいろ変更があります。

macOS は Ventura 13 が追加されました。

Windows は Windows Server 2016 系が外れ、
Windows Server 2022 系が追加されました。

Ubuntu は Ubuntu 18.04 が外れ、
Ubuntu 20.04 のみになりました。

Windows は Windows Server 2016 系のメインストリームサポートの終了日は 2022年1月、
Ubuntu 18.04 のサポートの終了日は 2023年4月 です。
対象 OS を使用していた方は新しい OS への移行も含めたアップデートをの検討も必要になります。

Apple でサインイン

これまで Amazon、Google、Microsoft(Azure AD)、AD FS の4つが、
定義済みアイデンティティプロバイダ (IdP) 認証設定 として可能でしたが、
これに Apple ID が加わりました。

Apple ID はかなりの方が個人的にお持ちだと思います。
もちろんその Apple ID を認証に使うこともできます。
ビジネスユースでは個人の登録と同じような手順でたくさんの Apple ID を作ろうとするとエラーで弾かれます。

「管理対象 Apple ID 」をご存知でしょうか?
一般企業向けには ABM(Apple Business Manager)、
学校向けにはほぼ同じ機能の、ASM(Apple School Manager) 、
という Apple の無料のサービスがあり、
組織の管理者が組織内の人にいくらでも「管理対象 Apple ID 」という Apple ID を発行できます

移動や退職で不要になった Apple ID は組織の管理者が Apple ID を削除することができます。
パスワードリセット、2段階認証用番号リセットなど可能で、
今 IdP 連携先として必要な機能が揃っています。

組織で発行したセキュアな IdP 認証 を無料で行いたいといった場合、
有効な選択肢になります。

クローンのみ バックアップ

クローン とは、FileMaker Pro で 「データなしのコピー」を行ったファイルと同じものを指します。
レコードがゼロ件のファイルのことです。
実はそれだけでなく、内部的なレコード IDのリセット、
ファイルロケールのリセットも行われます。

さて、これまでバックアップスケジュールのオプションとして、
クローンを作成することができていましたが、
通常のバックアップファイルを取得し、さらにクローンファイルも作成する状態でした。

今回からは、対象のファイル容量がバカでかいときに、
ディスク容量の限界をあまり気にせずクローンファイルだけ取得するバックアップスケジュールが組めます。

ところで「なんのためにクローンファイルって必要なの?」についてです。
教科書的には、ホストファイルが壊れた場合に、
バックアップも壊れたものを保存しているかもしれないから、
クローンファイルに、データをインポートしたものを使うことが良いとされています。
しかし、そんな場面一度も経験したことありませんし、
クローンを毎回作らず、データ入りのファイルからクローンをその時になって作っても同じだと思います。

また以前のFileMaker Pro のバージョンで、
開発でのControl+Z や command+Z は効かなかったので、
開発を主としているサーバーにはクローンファイルを Max の 99 世代取ってました。
なので 10 分前のスクリプトに戻したいといったときに便利でしたが、
今となってはそれも必要なくなりました。

おそらくこれは FileMaker Data Migration Tool (FMDataMigration) と将来いい感じに連携するための布石じゃないかなと私は睨んでます。

データベースのフィルタ 初期値有効

FileMaker クライアントから Server を開くと、
公開中のファイルの一覧が「すべて見える」か「アカウントとパスワードが一致するファイルのみ」に切り替えることができます。
この設定値のデフォルトが今までは チェック:OFF、つまり「すべて見える」になっていましたが、
新規にインストールした 19.6 からは「アカウントとパスワードが一致するファイルのみ」がデフォルトに変更されました。
ファイル名も見せたくないと思う方が一般的だと思うのでいい変更ですね。

管理者の役割

これまで FileMaker Server Admin Console や Admin API へサインインするためのアカウントは1つしか作成できませんでした。
そのため、スケジュールによるスクリプト実行の設定はやってもいいけど、
ファイルを閉じたり他の設定値を触ってほしくない、という権限移譲はできませんでした。

19.6 からは次のことを できる/できない 指定した上で、
2つ目のアカウントを作成することができます。

  • ファイルのアップロード、開く、閉じる、ダウンロード
  • バックアップスケジュール の設定
  • スクリプトスケージュール の設定
  • ログ 閲覧、ダウンロード

データベースフォルダ ごとに2つ目のアカウントを作成することになり、
同じデータベースフォルダ にもう一つのアカウントを作成することはできません。
つまり 19.6 では データベースフォルダ最大3つ、セキュアデータベースフォルダが1つで、
合計最大4つまでしか作れない点も覚えておきましょう。

FileMaker Data API で dateformats 引数

これまで 日本語環境、ファイルロケール日本語だとしても、
FileMaker Data API で日付やタイムスタンプの値は MM/DD/YYYY になっていて使いにくいものでした。

19.6 からの レコード取得系のものには dateformats パラメータをつけることで変更可能になります。
dateformats = 1 ならファイルロケール、2 なら ISO8601 つまり YYYY-MM-DDTHH:MM:SS です。

しかし、アップロードする日付の値は dateformats パラメータは効きません
例えば検索 API で日付の検索条件は MM/DD/YYYY で、
その結果は dateformats パラメータの指定どおりの結果が返ってきます。
レコード更新するときの日付フィールドの値は、
従来どおり MM/DD/YYYY で値を記述する必要があり、
dateformats を JSON に含めてもエラーになるだけのようです。
これ結構面倒なので、アップロードする値にも有効にしてくれたら良かったのに、、。

ファイルロケールは、GET(ファイルロケール要素)で確認できますが、
ファイルを新規作成したときの環境で決定されます。
ファイルロケールの設定変更はできませんのでご承知おきください。

PKI 認証

Admin API を使用するときは、access_token を取得して各リクエストを実行する、という流れが一般的です。
しかし access_token を取得するには Admin Console にサインインするための アカウントとパスワードが必要です。

弊社のような FileMaker Server ホスティングを提供している場合、
Admin Console にサインインするための アカウントとパスワードをお客様にお渡しします。
弊社は Admin API を主に設定変更やサーバー監視、停止を行います。
そうするとお客様側で パスワード を変更されると Admin API の access_token が取得できない事態になります。

今後は上記のケースで弊社はPKI 認証による Admin API の access_token を取得するようにすれば、
お客様は自由にパスワード変更していただくことが可能になります。

詳しい話は次のサイトで日本語で詳細手順があるので、今回省略させていただきます。
FileMaker Server Admin API 呼び出しに PKI 認証を使用する

データベースサーバーが停止した場合でも、Admin Console にアクセスできる

これまで、Admin Console や Admin API から データベースサーバーの停止 を実行すると、
すべてのファイルが閉じられるだけでなく、Admin Console にアクセスできなくなり、
その他の設定を変更してからデータベースを開きたいと思ってもできませんでした。

Admin Console および Admin API への IP アドレス制限

これまで、Admin Console および Admin API への IP アドレス制限を行いたい場合、
IIS や Apache や Nginx の設定ファイルへ直接書き込みを行う必要がありました。
ちょっとでも間違うといろいろ接続できなくなるので、ビクビクしながらの設定変更でした。

そもそも Admin API という REST API サービスは、
パスワード総当り攻撃(ブルートフォースアタック)されやすく、
アカウントとパスワードがわかってしまうと Admin Console からファイルの持ち出し、
悪意のある同名ファイルへの差し替えなど、悪いこといっぱいできてしまいます。

19.6 から Admin Console で簡単に IP アドレス制限ができますので、設定をおすすめします。
これだけでも 19.6 にする意味があります
IP アドレスは複数指定できますが、FQDN での指定はできません。

Ubuntu OS にて カスタム Web 公開 with XML がサポート

あれ、廃止予定って言ってませんでした?
いやいや「カスタム Web 公開 (CWP) with PHP は FileMaker Server 19.5.2 で廃止予定となりました。」です。
なので、PHP エンジンは自前で用意した上で、FileMaker のデータ連携は XML でもできるようになるよという話です。

今では FileMaker Data API や OData API があるのでなんで今さらと思う反面、
もしかして、「カスタム Web 公開・・」と言っているのは、
FileMaker Data API や OData API でのデータ量課金の対象ではないという意味を指すのか??
どなたか検証お願いしますw

Ubuntu OS にて サーバーでのPDF作成高速化

これは、新機能ではなくバグ修正なんですが、

保存されたレイアウトで複数のフォントが使用されている場合、
[レコードを PDF として保存] と [サーバー上のスクリプト実行] スクリプトステップを実行、
および FileMaker WebDirect から [PDF として保存/印刷] スクリプトステップを実行すると通常より時間がかかる

「保存されたレイアウトで複数のフォントが使用されている場合」遅かったと言ってますが、
日本語環境だとほぼそうだったので、
これだけでも 19.6 にする意味があると思います。

とはいえ、まだ確認してませんがこれまでのバージョンでは、通常の環境で何もしていなければ、
生成される PDF の日本語フォントは 中華フォントのような変なフォントに置き換えられます。
(宣伝)弊社が提供する FileMaker Server ホスティングサービス KBSクラウド では、
商用フリーフォントをインストールして優先設定していますので、
違和感のない日本語フォントのPDFが作成されるようにしています。

まとめ

毎回のアップデートについていけてないと言う方でも、今回の 19.6 はアップデートをお勧めします。

OS や ハードウェアスペック の動作条件がクッキリと変わりましたので、
予算化や、環境整備されているチームとの調整など、
法人では時間がかかることも予想されます。早めにご検討されてはいかがでしょうか。

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