Google Cloud ネットワークセキュリティ解説 – Identity-Aware Proxy(IAP)の活用 –

前回までのFirewall 解説シリーズに続き、今回からはGCPのネットワークセキュリティに焦点を当ててみようと思います。

概要

Identity-Aware Proxy(IAP)は、Google Cloud Platform(GCP)のセキュリティを強化するための重要なツールの一つです。従来のVPNや固定IP制御などのIPベースの制限ではなく、ユーザーのGoogleアカウントに基づいて制限できるようになります。IAPは外部からのネットワークへの直接アクセスを防ぎ、ユーザー認証を経て安全なトンネルを提供することができます。

1. ユーザー認証

IAPを使用すると、GCPリソースにアクセスする前にユーザー認証することができます。認証は、Googleアカウントや Google Workspace のアカウントを使用します。
GCP のプロジェクトに登録したアカウントと照合されれば、本来のGCPリソースにアクセスすることができます。また、IAPはGoogle アカウントの多要素認証(MFA)との組合せにより、より高度なセキュリティを提供します。外部からのネットワークへの直接アクセスを防ぎ、ユーザー認証を経て安全なトンネルを提供することができます。

2. アプリケーションとの容易な連携設定

IAPは、GCPの多くのサービスやアプリケーションとの容易な連携設定が可能です。Webアプリケーションであれば、ミドルウェアや特別なアプリケーションをインストールすることなく、IAPと連携することができます。Claris FileMaker での WebDirect や PHP 公開、Admin Console へのアクセスなどです。

また こちら の記事の様に 5003番ポートを使うFileMaker通信であっても、IAPのCLIアプリケーションと連動させることで、グローバル環境に公開されていない FileMaker ServerなどのVMインスタンスにアクセスすることもできます。

IAPを使用することで、セキュリティが強化されたアプリケーションを迅速に展開し、運用することができます。

3. 無料で利用可能

IAPはGCPの一部として提供されるため、GCPのアカウントを持っているすべてのユーザーが無料で利用できます。これにより、企業はセキュリティを強化するための追加の費用をかけることなく、IAPを活用することができます。
また、IAPは無料でも高度なセキュリティ機能が利用できるため、中小企業や個人事業主も簡単にセキュアなアクセス管理を実現することができます。無料で利用できるという点は、IAPを導入する際の大きなメリットの一つです。

IAPを活用することで、GCPリソースへのアクセスをセキュアに管理し、データやシステムを保護することができます。企業は、IAPを使用してセキュリティポリシーを簡素化し、セキュリティのリスクを最小限に抑えることができます。

IAPは、ネットワークセキュリティの中心的な要素として、クラウド環境でのビジネスに不可欠な役割を果たします。