Claris FileMaker における対象レコードの挙動

Claris FileMaker でデータベース管理を行う上で、「対象レコード」の概念は非常に重要です。対象レコードは、データの削除や更新などの操作の対象となるため、その挙動を正しく理解しないと、予期せぬデータ編集を引き起こす可能性があります。

この記事では、Claris FileMaker Pro における対象レコードの挙動について、レイアウト、テーブルオカレンス、ウインドウとの関係を詳しく解説します。FileMaker 開発に携わる方々にとって、重要な基礎知識となるでしょう。

対象レコードの挙動: 3つのシナリオ

  1. 同じテーブルオカレンスに関連付けられた複数のレイアウト間での対象レコードの挙動
  2. 同じレイアウトを複数のウインドウで使用する場合の対象レコードの挙動
  3. 同じソーステーブルに対する異なるテーブルオカレンスのレイアウトを使用する場合の対象レコードの挙動

1. 同じテーブルオカレンスに関連付けられた複数のレイアウト間での対象レコードの挙動

同じテーブルオカレンスに関連付けられた複数のレイアウト間を1つのウインドウ内で切り替える場合、対象レコードは変わりません。

例えば、「顧客管理」テーブルオカレンスに関連付けられた「顧客一覧」レイアウトと「顧客集計」レイアウトがあるとします。

「顧客一覧」レイアウトには、対象レコードが 100 件の状態です。

「顧客集計」レイアウトに切り替えても、対象レコードは100件のままです。

「顧客集計」レイアウトで、対象レコードを検索を51件に絞り込みます。

「顧客一覧」レイアウトに戻っても、対象レコードは51件のまま変わっていないことがわかります。

このように、同じテーブルオカレンスに関連付けられたレイアウト間では、対象レコードが共有されます。

2. 同じレイアウトを複数のウインドウで使用する場合の対象レコードの挙動

同じレイアウトを複数のウインドウで使用する場合、各ウインドウは独立して動作し、それぞれのウインドウで別々の対象レコードを設定できます。

今回の例では、「顧客管理」テーブルオカレンスに関連付けられた「顧客一覧」レイアウトのみを使用しています。

「顧客管理」ウインドウでは、「顧客一覧」レイアウトが表示され、対象レコードは51件です。

「顧客管理」ウインドウから新しいウインドウを開きます。新ウインドウは「顧客管理 – 2」と名付けられ、同じ「顧客一覧」レイアウトを表示します。このウインドウでも対象レコードは51件です。

「顧客管理 – 2」ウインドウで、対象レコードを100件に変更します。

元の「顧客管理」ウインドウを確認すると、 対象レコードは51件のままです。

このように、各ウインドウが独立して対象レコードを管理します。

3. 同じソーステーブルに対する異なるテーブルオカレンスのレイアウトを使用する場合の対象レコードの挙動

同じソーステーブルに対する異なるテーブルオカレンスのレイアウトを1つのウインドウ上で切り替えて使用する場合、対象レコードは別々に取り扱われます。

今回の例では、「顧客」ソーステーブルに基づいて2つのテーブルオカレンス(「顧客管理」と「顧客集計」)を作成しました。「顧客管理」テーブルオカレンスには「顧客一覧」レイアウト、「顧客集計」テーブルオカレンスには「顧客集計」レイアウトが関連付けられています。

「顧客一覧レイアウト」では、対象レコードが51件になっています。

「顧客集計」レイアウトに移動し、対象レコードが100件の状態にします。

「顧客一覧」レイアウトに戻ると、対象レコードは51件のままになっています。

このことから、テーブルオカレンスが異なる場合、それぞれのテーブルオカレンスが独自の対象レコードを持つことがわかります。

まとめ

Claris FileMaker で効果的かつ安全にデータベースを管理するには、対象レコードの挙動を理解することが重要です。以下に、3つのシナリオの結論をまとめます

  • 同じテーブルオカレンスに関連付けられたレイアウト間では、対象レコードが共有される。
  • 同じレイアウトを複数のウインドウで使用する場合、各ウインドウは独立して対象レコードを管理する。
  • 異なるテーブルオカレンスのレイアウトを使用する場合、それぞれのテーブルオカレンスが独自の対象レコードを持つ。

この記事で紹介した内容は、FileMaker 開発において基礎的かつ重要な知識です。レイアウト、テーブルオカレンス、ウインドウの関係を正しく理解することで、より効率的な FileMaker カスタム App の開発が可能になります。また、FileMaker Server や FileMaker Cloud を利用する際にも、この知識は役立つでしょう。

Claris FileMaker の機能を最大限に活用し、効果的なデータベース管理を行うためには、継続的な学習と技術支援が欠かせません。この記事が、皆様の FileMaker 開発スキル向上の一助となれば幸いです。