Community Live 15: Claris FileMaker 2024 (21.1) 登場 (½) クライアント編 – 最速レビュー

11月にリリースされた最新版 Claris FileMaker 2024 (21.1) の新機能にスポットを当てた Community Live が開催されました。

ライブ配信のアーカイブ: https://www.youtube.com/watch?v=ZtO4E1wL–0

この Webinar の告知ページ: https://community.claris.com/en/s/question/0D5Vy00000O6s7tKAB/claris-filemaker-2024-version-211-is-available

FileMaker 2024 (21.1)クライアント関連の新機能

FileMaker 2024 (21.1) の新機能紹介は2回シリーズで行われます。今回は1回目としてクライアント側、特に FileMaker Pro の新機能、次回は AI 機能を含むサーバー側の新機能がカバーされるとのことです。

FileMaker 2024 (21.1) の新機能については、以下の公式のページから詳細を見ることができます。

今回のアップデートは、バージョン番号上はマイナーアップデートですが、今まででもっとも大規模なアップデートである、との説明がありました。今まで懸案であったバグや、ユーザから要望があった点について、300 以上の項目について対応が行われたとのことです。

今回の Webinar では、数ある改善点の中でも特に注目すべき点をピックアップして、紹介が行われました。
以下で紹介します。

レイアウト計算の大幅改善

まず、今回のアップデートの中で一番アピールしたい改善点として、「レイアウト計算」が大きく取り上げられていました。
「レイアウト計算」は、テーブル定義に影響を与えることなく計算結果を画面に表示させる機能として、バージョン 20.2 で登場しました。

当初は、フィールド名の変更に追従せず表示が壊れてしまったり、条件によって再計算が行われないなど、利用するには注意をしなくてはいけない点があり、本格的な導入を躊躇してしまうものでした。
これらの欠点が解消されました。

今回のアップデートでこれらの欠点が解消され、本来のメリットを完全に享受できるようになりました。

Doug さんの説明では、カスタム App の多言語対応やデータベース構造解析ツールなどで、便利に活用できる可能性を持っているという紹介がありました。

過去に「レイアウト計算」機能について解説した2つのブログ記事を弊社ホームページに公開しています。詳細はこちらをご参照ください:

レイアウト計算

レイアウト計算の結果を取得する

これらの記事では、「レイアウト計算」機能の基本的な使い方から応用的なテクニックまで幅広く解説しています。新機能の理解を深める際にお役立てください。

絞り込み検索のパフォーマンス向上

従来の絞り込み検索では、対象レコード数が少ない場合でも索引が使用され、パフォーマンスが低下することがありました。今回のアップデートで、索引を使わない絞り込み検索が可能になり、大幅なパフォーマンス改善が期待できます。

名前をつけて XML として保存機能の拡張

「名前をつけて XML として保存」機能が大幅に強化されました。バージョン 18 から存在していたこの機能も、成熟の時期を迎えつつあるようです。

新しく追加された「分析ツールの詳細を含める」(DDR_INFO を含む)オプションを指定できるようになったそうです。

この機能拡張は、主に開発者やデータベース管理者にとって重要です。実際、この機能をエンドユーザーが直接触る機会は多くはないかも知れませんが、現在多くの FileMaker ファイルの構造解析ツールがこの新機能を利用しているという紹介がありました。

弊社寿商会が新たに取り扱いを開始したバージョン管理ツール「Devin」では、この機能を活用してバージョン間の差分を可視化する機能が搭載されています。

デフォルトのレイアウトテーマがカスタマイズ可能に

新規の .fmp12 ファイル作成時、従来はデフォルトのレイアウトテーマはつねに「Apex Blue」テーマが自動的に適用されていました。ですが、今回のアップデートでユーザーが自由にカスタマイズできるようになりました。

この新機能により、開発者は自分の好みや会社のブランドに合わせたテーマをデフォルトとして設定できるようになります。これにより、新規ファイル作成時の作業効率が向上し、一貫性のあるデザインの維持が容易になります。

また、今後は XML から .fmp12 ファイルを生成する機能と合わせて、レイアウト自動生成機能の強化をしていく予定であることが触れられています。今回のこのテーマ関連の変更もその計画の一つと位置付けられているそうです。そのため、今後、レイアウトやテーマに関連する変更も徐々にロールアウトされる予定とのことでした。

クイックオープン (Open Quickly) の機能改善

「クイックオープン (Open Quickly)」も、大きな機能改善が行われました。

このクイックオープンは、Mac の Spotlight と同じものを FileMaker にも、というコンセプトで開発が始まったものです。

開発者とエンドユーザーの両方をターゲットにしていますが、主に開発者の利便性の向上を第一に考えているということでした。

権限に基づいて、見えていい人に正しく見えるようにしたいと考えているが、カスタムApp の作り方によっては、見えてほしくない部分がユーザに見えてしまうという問題があるのも認識していて、これについては、これからもパートナーなどからのフィードバックによって、使いやすいものに改良していきたいという説明がありました。

また Q&A で、keystroke で検索が行われるためクイックオープンの動作が遅い、という指摘がありました。これについても、今後のバージョンアップで改善が予定されているとのことです。

API 通信のデータ制限撤廃

これはどちらかというとサーバー関連の話題ですが、Q&A の中で、API 通信量の扱いの変更についても多くのユーザが興味を示していました。従来ユーザから多くの要望を受けていたものが今回採用された例の一つです。

今までは、契約しているユーザ数に応じて、2GB / 人・年 という API データの通信量の無料枠というものが存在し、それ以上は別料金となっていましたが、その制限がなくなり契約内で上限なく利用できるようになりました。

これによって、今まではためらわれていた、例えば Salesforce と API 連携するなどの本格的なソリューションも、今後は出てくるかも知れないという話題が出ていました。

まとめ

今回のバージョン21.1のアップデートでは、あまりに多くの改善点があるため、実は今後の開発に大きな影響があるものも見過ごしてしまいがちです。AI 関連の新機能だけでなく、地味に今すぐ開発効率を上げてくれる多くの変更についても、見逃さないようにしていきたいと思います。

最後に、今回の Community Live では、フランスの悪天候により Doug さんの通信状況が不安定でしたが、無事に中継が行われたことをお伝えして、ブログを締めくくりたいと思います。