FileMaker Cloud を使用する場合は、AWS(Amazon Web Services)の利用料と、FileMakerのライセンス料の2つの料金が発生します。
今回はFileMakerライセンスの料と、FileMaker Cloudならではの仕様についてご紹介します。
ポイントは下記の通りです。
- Hourly、Annual、BYOLの3通りから選択する
- BYOLの場合は年間利用タイプのみ
- FileMaker Pro(有償)、Pro Advancedクライアントの同時接続上限は無い
- 同時接続100以上可能なライセンスのBYOLでも、同時接続は100まで
- 「サーバー上のスクリプト実行」はライセンスに含まれる同時接続が25以下ならは25、26以上なら100まで
- 移行の際は60日並行稼動OKの特別ルール
15日間無償トライアル(ver17からはトライアルライセンスはなくなりました)
Hourly/Annual/BYOLの3通りから選択
FileMaker Cloudをセットアップするときに、どのライセンスを使用するか決める必要があり、その選択肢はHourly/Annual/BYOLの3通りです。
HourlyとAnnualは、AWS Marketplace で購入するものです。実際はその販売代理店である Orbitera 社を経由して注文されますが、操作ミスによって誤って課金された場合など、英語文書の理解および、英語メールの対応が難しい方は、BYOL にてご購入されることをお勧めします。
BYOLとは、すでに持っている、もしくは新規に購入したFileMakerライセンスを使用する方法です。購入の方法は従来とかわらず、ファイルメーカー社や弊社などの代理店(FBA Reseller)から購入できます。
Hourlyは1時間単位の課金、Annualは年間単位の課金になります。またBYOLも詳しくは後述しますが年間利用タイプのライセンスが必要です。
ちなみにHourlyで長時間使った場合の、年間タイプのAnnualやBYOLとの損得の分岐点は、1年で約1ヶ月使用する辺りです。つまり年次のイベントなどで1年で2週間ほどしか使わないといったケースではHourlyがお得です。Hourlyで24時間365日使用した場合は、AnnualやBYOLの12倍相当高額になってしまいます。
BYOLの場合は年間利用タイプのみ
すでに持っている、もしくは従来からの購入方法によってFileMakerライセンスを購入し、FileMaker Cloudで使用することをBYOLといいます。ただし、すべてのライセンスがFileMaker Cloudに対応しているわけでなく、AVLA/ASLA/FLT年間利用などの年間利用タイプのみBYOL可能です。
現在お持ちのライセンスがVLA/SLA/FLT永続利用など年間タイプではない場合、AVLA/ASLA/FLT年間利用タイプへの移行が可能です。その場合はファイルメーカー社や弊社などのFBA Resellerにお問い合わせください。どこで購入されたライセンスであってもこれらの問い合わせ先で移行手続きが可能です。
FileMaker Pro(有償)、Pro Advancedクライアントの同時接続上限は無い
現在FileMaker Proには2つの種類があります。機能は全く同じですが、PCの台数分購入する従来からのFileMaker Proと、PCへのインストールは何台でも無償でServer接続時に同時接続数でカウントされるFileMaker Pro(User Connect)の2種類があります。従来からの有償のFileMaker Proと、FileMaker Pro Advancedは、FileMaker Cloudに接続する台数に制限は無く、何台でも同時に接続できます。
ちなみに同時接続とは下記の3つの接続をカウントし、そのライセンスに含まれる同時接続数まで接続ができます。
- FileMaker Pro(User Connect)
- FileMaker Go
- WebDirect
同時接続100以上可能なライセンスのBYOLでも、同時接続は100まで
現在のFileMaker Cloud 1.16.1では仕様上同時接続は100までになっています。おそらく近い将来にはもっと大きな数の同時接続が可能になると予想しています。
「サーバー上のスクリプト実行」はライセンスに含まれる同時接続が25以下ならは25、26以上なら100まで
「サーバー上のスクリプト実行」の最大同時実行数も制限があります。ライセンス的に同時接続25以下ならは25、26以上なら100までになります。ただし、このスクリプトはクライアントと同等の処理をサーバーのリソースを使って実行するので、数分続くような重いスクリプトを同時に10個「サーバー上のスクリプト実行」させるには相当高スペックのインスタンスが必要になるので、気にしなくてもよいほど十分な数かもしれません。
移行の際は60日並行稼動OKの特別ルール
現在FileMaker Serverを使って運用中でFileMaker Cloudに乗り換えしたい場合、利用者に迷惑がかからないよう事前にFileMaker Cloudを構築し、接続先のドメイン名を確定させて事前に周知し、深夜や土日(みなさまお疲れ様です)にファイルだけサクッとサシカエするだけで切り替えしたいものです。ライセンス規約上1つのサーバーライセンスは複数サーバーへ同時にインストールされててはいけないのですが、こういうFileMaker Cloudへの切り替えの場合の特別ルールとしてFileMaker ServerとFileMaker Cloudを60日間並行稼動することが許されるそうです。確かにこれ許されないと移行できないし、当たり前といえば当たり前、、。
15日間無償トライアル(ver17からなくなりました)
FileMaker Cloudでは15日間の無償トライアルがありますので積極的に試してみましょう。ただし注意点が多いので気をつけましょう。
FileMaker CloudのセットアップではHourlyライセンスを選択する必要があります。Annualでは即購入になります。トライアルといいながらも実際は、15日間HourlyのFileMakerライセンスが課金されないだけであって、セットアップの手続きはHourlyの申し込みと同じになります。解除手続きを忘れてしまって16日目になると請求は自動的に加算されていきますので注意してください。
ファイルメーカーから公開されている「FileMaker Cloud スターティングガイド」をよく読み、FileMaker Cloud AWS Marketplaceの解約、AWSコンソールからインスタンスの停止・削除やEBSの削除を行いましょう。上記の通りHourlyタイプでトライアルをするので、トライアル後に「トライアルでいけることが確認できた。FileMaker Cloudを使おうと思うので15日間使っていた環境をそのまま使い続けよう」と思った場合、Hourlyタイプで使い続けるのなら問題ありません。しかし、トライアルでせっかく作ったインスタンスですがそのままBYOLに切り替えて運用することは残念ながら出来ません。今のHourlyライセンスのインスタンスは消去して、もう一度新たなFileMaker Cloudインスタンスを構築する必要があります。FileMakerのライセンス料金はトライアル中発生しませんが、AWSの料金はかかります。2週間も使うと最低でも2,000円程度かかります。AWSの料金は秒単位の課金や通信量による課金なので、半日程度の確認であれば数百円で済ませることができます。