クラリス・ジャパン から新しいバージョン Claris FileMaker 19 が発売開始されました。
今回のバージョンは従来の機能をそのまま使える互換性がきちんと維持されつつも、
強力な新機能が豊富に搭載され、Claris FileMaker の可能性が大きく広がる素晴らしいバージョンになりました。
新しいバージョンについてポイントをまとめました。
スクリプトの追加
Web ビューアで JavaScript を実行
- これまでも実現していましたが、WebDirect も含めより簡単に Claris FileMaker と Web ビューア を連動させられるようになりました。
- 「Web ビューアで JavaScript を実行」スクリプトステップを使ってWeb ビューア内の JavaScript 関数を実行できます。これにより、FileMaker から Web ビューア へデータ連動も可能になっています。
- これ実は JavaScript 標準のグローバルオブジェクトもそのまま使えます。なのでプレーンなHTMLページにゼロからeval()、document.write()、setTimeout()関数などを実行できるので、ほぼ自由自在に FileMaker から JavaScript を扱えます。
- Web ビューアで開いたページには自動的(window.onload後)に FileMaker.PerformScript() というグローバルオブジェクトが追加されます。これによりWebビューア から FileMaker へデータ連動も可能になっています。
- つまりこのスクリプトステップと FileMaker.PerformScript() があるのでリアルタイム双方向の通信が可能。
本機能についてクラリス・ジャパン公式Webセミナーで詳しく解説させていただきました。
- Claris FileMaker 19 新機能:JavaScritpt 機能の基本と応用
- Claris FileMaker 19 新機能:JavaScritpt 機能をWebDirectで使う基本と応用
機械学習モデルを構成
- Claris FileMaker Go、Mac OSでの Claris FileMaker Pro 専用。
- Appleが提唱する CoreML を使って、自動認識の結果を簡単に得ることができます。
- 「機械学習モデルを構成」スクリプトステップを使って、機械学習モデル「.mlmodel ファイル」を読み込み、「ComputeModel 関数」で結果を受け取ります。
本機能についてもクラリス・ジャパン公式Webセミナーで詳しく解説させていただきました。
- Claris FileMaker 19 新機能:CoreML を使って画像を自動判別する
ショートカットの登録を有効 / 無効にする
- Claris FileMaker Go 専用です。
- iOS の「ショートカット」アプリからスクリプトを起動できるようになります。
- スクリプトを右クリックすると「ショートカットの登録を有効 / 無効にする」が選択できます。
- 実行するには、セキュリティから拡張アクセス権 [ fmurlscript ] を使用するアカウントで許可する
- ファイルを一度開く必要がある
- 音声認識AI「Siri」とと連動させることができます。
- Siri から起動するには、作成したショートカットの名前を呼ぶだけです。
- Apple Watch や AirPods と連動させるなど期待が膨らみます。
NFC 読み取りの構成
- Claris FileMaker Go & iPhone 専用です。
- NFCの読み取りができます。1スクリプトステップ1個の読み込みだけでなく、1スクリプトステップ複数読み込みも可能です。
- 書き込みはできません。別アプリケーションでNFCタグへ書き込みする必要があります。
- ハードウェアとしてNFCがないと動作しないので、日本での発売機種であれば iPhone7 以降、第2世代 iPhone SEが対応機種になり、iPad、iPod touch は非対応になります。iPhone6/6s でも可能との情報があるので今後確認してアップしていきます。
- NFC とはいえ、残念ながら Suica や Felica 、マイナンバーカードなどは読み取りできません。NTAG 213/215/216 という規格のものが読み取りできるとの情報があり、この辺は今後情報を整理してアップしていきます。
WebDirect におけるカードウインドウ
- これまでカードウインドウは WebDirect では対応していませんでした。これまでそのスクリプトステップは自動的に通常の新規ウインドウ動作となっていました。お気づきでした?
FileMaker Data APIを実行
- スクリプトステップに新たに追加されていますが、新機能としてヘルプに掲載されていません。
- 海外ベンダー Geist Interactive で詳細が解説されていました。https://www.geistinteractive.com/2020/05/20/filemaker-19-execute-filemaker-data-api-script-step/
- Data API の 「Find Records」に相当するリクエスト・レスポンス内容のようです。
- 「JSON形式でレコード内容を一発で取得できる」メリットは大きくありそうです。今後情報を整理してアップしていきます。
関数
ConvertFromFileMakerPath ( FileMaker パス ; 形式 ) ・ConvertToFileMakerPath ( 標準パス ; 形式 )
- Get(テンポラリパス)などで取得したパスに対して、URL、Windows、Mac、iOSなどのパス形式に変換できます。
- ConvertToFileMakerPath と ConvertFromFileMakerPathとは相互逆の関係になります。
ComputeModel ( モデル名 ; 名前1 ; 値1 {名前2; 値2;…名前N; 値N } )
- リリース直前に仕様変更されてヘルプの内容変更が追いついていないらしいです。正しくは、ComputeModel (モデル名 ; “image” ; 値1 ; “confidenceLowerLimit” ; 0~1の間の数値 ; “returnAtLeastOne” ; 1か0 ) です。
- confidenceLowerLimit は結果のJSONをすべて返すのではなく、この数値以上のconfidence(適合可能性率)の結果のみが返されます。
- returnAtLeastOne は confidenceLowerLimit で設定した数値以上のconfidenceがなくても、最低1つは結果を返すという意味です。
本関数についてクラリス・ジャパン公式Webセミナーで詳しく解説させていただきました。
- Claris FileMaker 19 新機能:CoreML を使って画像を自動判別する
動作環境の変更
デスクトップ向けアプリケーションから Advanced の文字が消えた
- それでも Advanced のツールメニューは従来どおり機能します。
- 現在 Get(アプリケーションバージョン)は 「Pro 19.0.1」です。
Windows 向け 32bit版の廃止
- Windows 10が当たり前の今ではさほど問題にはならないと思いますが注意が必要です。
WebDirect において、Internet Explorer 11 は動作環境から外れる
- 現在の初期バージョンの WebDirect に Internet Explorer 11 から接続してみると特に警告は出ませんし、動作はするようです。おそらく今後機能追加が予定されているアドオンでは Internet Explorer 11 非対応というケースが増えるものと予想されます。
- とはいえ、Windows OSでの FileMaker Pro 上のWeb ビューアは、Internet Explorer 11のエンジンが使用されますので、JavaScript は ES5 で書く必要があります。
アプリケーション起動時にデフォルトで開くファイルを自由に設定できる
- 以前のバージョンでは、インストール時に Assisted Install.txt の設定変更によりアプリケーション起動時にデフォルトで開くファイルを設定できました。しかし一度設定したファイルパスを変更する場合はアプリケーションの再インストールが必要でしたが、新バージョンからは環境設定からいつでも変更できるようになりました。
Claris FileMaker Server の起動復元機能はデフォルトでOFF
- バージョン18の新機能だった起動復元機能はデフォルトONでインストールされていました。本機能のメリットとデメリットを比較した場合、OFFで使用される方が多いと予想(弊社予想)されるので、良い変更だと思っております。
FileMaker Cloud for AWS は バージョン19 はリリースされず、18 のまま
- FileMaker Cloud は今までの FileMaker Cloud for AWS (通称1.0)はメジャーバージョンアップせず、今後は Claris FileMaker Cloud (通称2.0)を軸にクラウドファーストで進めるとのことです。
- とはいえサポート切れになったわけではないので、今後のバグフィックスやセキュリティーアップデートされないわけではなさそう。
- 従来の FileMaker Cloud for AWS 1.18.x へはバージョン18、19から接続可能です。
fmp19プロトコル
- URLからファイルを開いたりスクリプトを実行する「URLスキーム」ですが、バージョン番号が新しくなったことにより、「fmp」と「fmp19」が使用できるようになりました。
Claris FileMaker Server カスタム Web 公開、FileMaker Proピアツーピア共有は継続
- PHPのバージョンは 7.1.19
ランタイム作成機能はついに廃止
- 今後無料で配布するローカルアプリケーションは、バージョン18以下でランタイムを作成するか、iOS 向けアプリ Claris FileMaker Go を使用してもらう必要があります。
サポートされるESS接続のデータベースバージョン
- Microsoft SQL Server 2017 / 2016 / 2014
- MySQL Community サーバー 5.7.21
- Oracle Database 11g リリース 2 / 12c リリース 1 / 12c リリース 2
- IBM Db2 for i. 7.3 / バージョン 11.1 (いずれも Actual ESS Adapter 経由)
- PostgreSQL 9.6.12 ( Actual ESS Adapter 経由)
その他
- Mac OSダークモード対応。( iOS では前バージョンから対応済み)
- レイアウトモードでの名前を指定してレイアウト切り替え
- {{ページ数}} 記号により、印刷やPDF出力で総ページ数を印字
- データ書式に「指数表記」が追加され、小数点以下の桁数指定が可能
- ボタンバーセグメント単位でコピーとペーストが可能
同時に日本での販売開始された新製品
Claris Connect
- 様々なWeb APIサービスと連携するワークフローを簡単に構築できる新サービスです。Twitter、
Slack、Dropbox、Box、Twilio など、世界中で広く使用されているエンタープライズ App を含む 50 種類近くのコネクタを利用できます。 - FileMaker を一切使用しないワークフローでも簡単に作成できます。
- 1契約1ヶ月あたりの料金は、Developer 2,050円、FileMaker Plus 5,130円、Essentials (ライトプラン) 10,160円、Standard (スタンダードプラン) 25,550円。現在有効な FileMaker ライセンスをもっている方なら FileMaker Plus 5,130円がおすすめになります。
本サービスについてクラリス・ジャパン公式Webセミナーで詳しく解説させていただきました。
- Claris Connectで承認ワークフローを作成する
新しい Claris FileMaker Cloud (通称Cloud2.0)の東京リージョン
- クラウドインスタンスの構築不要で、FileMaker ファイルを公開できる SaaS 的な存在
- これまでの FileMaker ライセンスを使用することはできない。
- 1 ユーザ 1か月あたりの料金は Essentials 1,950円 、Standard 4,000円
FileMaker Server 19 Linux (CentOS) 開発者プレビュー
- Windows Server 2016 以降のライセンス体系変更により要望が強かったLinux (CentOS)版。
- 現状はベータ状態で、夏?年末?あたりまでに正式リリースさるのか、されないかもわかりません。
ヘルプページ
ヘルプページにも新機能についてまとめられています。
盛りだくさんすぎて興奮してます。