FileMaker Data API を実行 の新バージョンからのエラー処理

Claris FileMaker 2024 – 「 FileMaker Data API を実行」スクリプトの CUD サポート でも書いた通り、新バージョンでは CUD がサポートされ、同時にエラー番号の発生の仕様が変わっています。そのため、2023(バージョン20)以前から FileMaker Data API を実行 スクリプトステップを使っていて最終エラーをきちんと確認した記述をしていた場合は修正が必要になります。

変更された仕様

2023(バージョン 20)以前の「FileMaker Data API を実行」スクリプトステップは、「実行ができたかどうか」を最終エラーとして返していました。そのため、ほとんどの処理で最終エラーは 0 となり、このスクリプトに非対応の古いバージョンで実行した場合の最終エラー 3 ぐらいしか出ませんでした。

2024(バージョン 21)からは、それに加えて CRUD 操作のエラー番号も返すように仕様変更されています。つまり、「FileMaker Data API を実行」スクリプトステップで検索をする場合は 101 や 401、レコード編集をする場合は 301 などのエラー番号がでるようになりました。ちなみに、ターゲットに設定したフィールドや変数に含まれる結果の記述には仕様変更はありません。

バージョンアップによって修正が必要な場面

一言で言えば、「FileMaker Data API を実行」の直後に Get(最終エラー) を取得していた場合です。これまでは最終エラーが 0 ではなかった場合、解決不能なエラーの可能性が高かったため、スクリプトを中断して大騒ぎする処理をしていたと思われます。

また、バージョンが混在する場合は実行環境によって動作が異なるため、Get(アプリケーションバージョン)関数などを用いて条件分岐する必要があります。前述した通りターゲットに設定したフィールドや変数に含まれる結果の記述に仕様変更はないため、最終エラーの判定を行っていない場合は修正は不要です。

画像はトップ画像のスクリプトを修正した例です。

どの実行環境のバージョンに依存するか

バージョンが混在する場合は、どの方法で実行されるかによって変わってきます。以下の表をご参考にしてください。

クライアントサーバー実行環境仕様
FileMaker Pro / FileMaker Go 2024(21)FileMaker Server 2023(20)以前通常のスクリプト実行新仕様
サーバー上のスクリプト実行、スケジュール実行旧仕様
FileMaker Pro / FileMaker Go 2023(20)以前FileMaker Server 2024(21)通常のスクリプト実行旧仕様
サーバー上のスクリプト実行、スケジュール実行新仕様
FileMaker WebDirectFileMaker Server 2023(20) 以前旧仕様
FileMaker Server 2024(21)新仕様

まとめ

Claris FileMaker のバージョンアップによってスクリプトを修正が必要になる仕様変更は、バージョン毎に発生するものではありません。しかし、バージョンアップ時はほとんどの場合で全員のバージョンが同時期に揃うことはないため、結局混在環境時の実行にも耐えられるように修正する必要があります。

Claris FileMaker の継続的な機能改善は、カスタムアプリケーション開発の効率と品質の向上に貢献しています。この変更に対応することで、より堅牢な FileMaker ソリューションの開発が可能になります。

参考: Claris FileMaker Pro ヘルプ – FileMaker Data API を実行