米国 Claris Engage 2025 の基調講演が YouTube に公開されました。
40周年の長期にわたる安定と成長の歴史、近年ではモバイル、クラウドというトレンドに乗り、今は AI というトレンドが新たな成長の軸になると紹介されました。
近日リリース予定の新製品や強化されたツールを通じて、Claris がどのように問題解決者をサポートするか、AI を深く安全に統合していくのかをご紹介しています。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLkvKnBkQSCeRTmTQT_mI2YtIR59T74Tdg
まずは Podcast 風の音声まとめをぜひお聞きください
発表された 新機能 / 機能強化 をまとめてみた
Youtube で制限なく見られるようになったということは、ここで話されたことについて NDA ではなくなったということ。話されているギリギリの範囲の情報をまとめてみました。
ちなみに、これらの新機能は次のバージョンですべて実現するというものではありませんのでご承知おきください。
Claris FileMaker | |
Server:Admin Consoleの AI Servicesタブ | 管理コンソールに新しいタブが追加され、新しい AI ツールの管理が簡素化されます。 |
Server:LLM ( Large Language Model ) のダウンロード、管理、ホスティング | Admin Console から選択したモデルを簡単にダウンロード、管理、ホストできます。デプロイメント方法(フルクラウド、オンプレミス、ハイブリッド)を選択可能です。 |
ファインチューニング | モデルを自社のビジネスや業界のニュアンスに合わせて訓練する機能です。自社の用語でビジネスについて話せるようにモデルを訓練できます。 |
RAG (Retrieval Augmented Generation) サーバー | 大量のドキュメントや非構造化データを、AIが質問に答えるために使用できるデータに変換できます。ファインチューニングと組み合わせることで、自社のデータを競争優位性として活用できます。 |
新しいスクリプトステップ「Generate response from model」 | LLMをアプリケーションに統合するプロセスを簡素化・効率化します。これにより、新しいAPIの学習、cURLオプション、データ解析、エラー処理などが不要になります。ゼロからでも迅速にLLM連携が可能です。 |
「Generate response from model」の機能強化: 会話メッセージの保存・管理 | 会話メッセージを保存・管理する機能が内蔵されており、チャットインターフェースの作成が容易になります。 |
「Generate response from model」の機能強化: Webビューアとの連携強化 | Webビューアとの連携が強化され、動的で素晴らしいユーザー体験を作成するのが非常に容易になります。 |
「Generate response from model」の機能強化: AIによるツール使用機能 | LLMがツールを使用する能力を活用できます。独自のカスタム関数やスクリプトをAIに利用させ、より複雑なタスクを完了させることができます。 |
上記AIによるツール使用機能: エージェントモード | AIが定義されたセキュリティやアクセス権限に常に従いつつ、FileMakerに定義されたカスタム関数やスクリプトを自動実行できます。 |
強化:スクリプトワークスペースのコード折りたたみ | コードブロックを視覚的に折りたたみ、スクリプトの論理セクションをより簡単に分離できます。 |
強化:カスタム関数用のフォルダ | カスタム関数リストのナビゲーションが高速かつ容易になります。 |
強化:既存グループへのオブジェクトの追加/削除 | グループを解除・再グループ化することなく、ワンクリックで既存のグループにオブジェクトを追加・削除できます。 |
強化:macOS 版 FileMaker Pro の UI デザイン刷新 | Apple のデザイン言語に近づけるための UI の再設計が行われます。 |
Server : Let’s Encrypt SSL証明書のインストールと管理 (Admin Console) | 管理コンソール経由で数クリックで証明書のインストールと管理が行え、バッチスクリプトの経験や時間、注意が不要になります。 |
Server:サーバー展開の簡素化: SSL証明書の自動更新 | FileMaker Server が Let’s Encrypt SSL 証明書の自動更新を処理します。 |
データ抽出機能: PDFコンテンツ抽出関数 | PDFコンテンツを直接テキストフィールドに抽出する新しい関数が提供され、コンテンツのインデックス化、分析、検索を迅速に行えます。 |
AIアシスタントによる計算式生成 (計算を指定ウインドウ内) | 自然言語で求める計算結果や条件などを記述すると、AIが正しい計算式を生成し、その仕組みを説明してくれます。(FileMaker Proの計算を指定ウインドウ内でのプロトタイプとして紹介されました)。特に初心者にとって、新しい関数や演算子、それらの組み合わせ方を学ぶのに非常に価値があります。 |
Claris Studio | |
FileMakerデータのClaris Studioへの複製/ミラーリング | FileMaker のデータを Studio に自動的にコピー(複製)します。これにより、FileMakerユーザーは従来通りに操作しつつ、Studioのパフォーマンスとスケールを活用できます。 |
カスタムビュー作成機能 | 顧客向けにカスタマイズされたWebインターフェース(カスタムビュー)を作成できます。FileMakerライクなドラッグ&ドロップ操作で簡単に構築できます。 |
Studioでのスキーマ変更のFileMakerへの自動反映 | Studioでフィールドを追加するなどのスキーマ変更を行うと、バックグラウンドでFileMakerソリューションにも自動的に反映されます。FileMaker側ではレイアウトへの配置が必要になります。 |
顧客向けデータコントロール | サインインした顧客のメールアドレスとフィールドの値を照合するなど、特定の顧客にのみ関連するデータレコードを表示する設定が容易に行えます。他の顧客のデータが見えるのを防ぎます。 |
外部IDプロバイダーのサポート | OktaやAzure Active Directoryなどの外部IDプロバイダーとの統合により、顧客向けカスタムビューへのシームレスで安全なログイン体験を提供し、摩擦を減らし導入を促進します。AWS Cognitoの例も示されました。 Claris ID がなくてもログインさせる仕組みができるってことですね。 |
データ収集機能の強化 | iFrameサポート、事前入力フォーム、色カスタマイズなどの機能が含まれます。 iFrame が使えるってことは、実質 Studio に足りない部分を別途 Webページ作って補うことができるってことですね。 |
Claris Connect | |
新しいStudioコネクタ | Studio での新規レコード作成などの CRUD 操作やユーザー管理操作をトリガーとして Connect フローを実行したり、Connect 内で Studio のデータ、ユーザー、UIをプログラム的に操作するアクションを実行できます。 |
強化されたFileMakerコネクタ | FileMaker Cloud と FileMaker Server コネクタを統合し、ODataとData APIを組み合わせて使用することで、FileMakerサーバーに負担をかけず機能性とスケーラビリティを向上させます。効果的な統合がソリューションの可能性を最大限に引き出します。 |
プラットフォーム内データ移動フローの追加コストなし | Clarisプラットフォーム内(FileMaker, Studio, Connect間)でデータを移動するためにのみ使用されるConnectフローは、追加コストなしで利用できます。 もう一度私から言いますが、Claris Connect が、FileMaker や Studio とやり取りするなら費用の制限はなくなるってことです。 |
Claris Connect / Claris Studio | |
AIによるStudioビューとConnectフローの自動生成 | 自然言語で解決したい問題(自動化したいタスクなど)を記述すると、AIがStudioビューとClaris Connectフローを組み合わせたソリューションの計画を自動的に生成します。AIは問題を理解し、StudioとConnectのコンポーネントにマッピングし、必要なUI、ロジック、自動化フローを自動的に生成します。 |
AI生成プランへの自然言語によるUI/フロー変更指示 | 生成されたUIやConnectフローに対して、自然言語でさらに変更指示を出したり、設定変更を行ったりすることができます。 |
AI開発支援の機能: チャットタイムラインによるバージョン管理 | AIとの会話形式での開発プロセスにおいて、チャットタイムラインを使用して以前のバージョンに簡単に戻ることができます。 |
AI生成された計画の本番ソリューションとしてのデプロイ | AIによって生成・調整された計画を、完全に機能する本番ソリューションとしてデプロイできます。デプロイ後はStudioやConnectのツールで管理を継続できます。 |
今年の新バージョンはかなりアツい
Claris Engage の2日間のセッションでより詳しく解説されていますが、そこはまだ NDA だったりします。
時期が経てばより詳細は明らかになるでしょうが、この表に書いてある一文だけでもすごいことができるようになります。
Claris が AI を中心に新機能一気に搭載して新しいニーズに対応すると同時に、
既存ユーザーがより開発しやすくなる機能強化もあって、
頼もしい限りです。
「 FileMaker 2025, available early summer. 」言っている今年の新バージョンはかなりアツく、待ち遠しいですね。