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丸友青果株式会社 – 青果市場の仲卸業が FileMaker Go で ROI 260 % を達成

丸友青果は、石川県にある金沢市中央卸売市場内に拠点を構える、加賀野菜を中心とした青果の仲卸業者。朝 6 時に始まる競りで青果を買い付け、スーパーマーケットなどの小売店に販売している。
青果の売買管理は伝票をベースに行われているが、この伝票管理は、長年、営業担当者、そして事務員の負担となっていたという。その課題を解決するために、iPad で動作する伝票入力システムを FileMaker で構築した。
iPad 導入の発案者は、取締役の北形典子氏だ。

手作業に頼っていた伝票処理が限界に

「以前から会社全体の仕入れや売上のデータを管理するために基幹データベースシステムを導入していました。ただ、データを手書き伝票から手入力していたのでとても作業効率が悪く、増え続ける手間と人件費に、いつまでこんなことを続けるのだろうと思っていました」
iPad 導入以前、伝票入力から売上データ集計までの流れは次のようだったという。
競りは朝 6 時から始まる。営業担当者は競り場で、売り買いした青果の数や金額を、立ったままでメモに走り書きする。目まぐるしく展開する競りの最中に記されるメモは書いた人にしか判読できないラフなものも多い。8 時過ぎに競り場での仕事が終わると、メモから専用の伝票用紙に手書きで転記する。記入する項目は、商品名や産地、個数(または重さ)、サイズ、金額などだ。
営業担当者全員の伝票が揃うまでに 2 時間近くかかる。そこからは事務員の仕事だ。束ねると厚みが 10 センチ近くにもなる伝票を一枚一枚繰りながら、パソコンで基幹システムに入力する。
「2、3 時間続けて入力をするので、腕がパンパンになります。伝票をめくりすぎて、手首が腱鞘炎になった人もいます」
すべての伝票を入力し終えると、やっと今日 1 日の仕入れと売上を集計できる。それから正式伝票の発行など、すべての経理事務が完了するのは夕方だ。

FileMaker Go 採用の経緯

メモの内容を手書きで伝票に転記し、それをさらにパソコンで手入力する。この煩わしい手間を解消したい。それが、北形氏の願いだった。しかし、営業担当者にパソコンでの入力は任せられない。
「営業には営業の仕事があって忙しいですし、それにパソコンに不慣れな人も多いので」
しかし、iPad の存在を知ったことで、これならとひらめいた。
「パソコンのキーボードには抵抗がある人でも銀行の ATM は使えます。タッチ操作ならば、営業担当者も簡単に伝票入力ができるのではないかと思ったのです」
早速、基幹システムの運用管理を任せている SIer の内田洋行 IT ソリューションズ西日本に相談した結果、FileMaker と iPad を組み合わせたシステム構築の実績がある寿商会を開発パートナーに迎え、基幹システムとも連携する iPad 伝票入力システムの開発プロジェクトがスタートすることになった。
寿商会の若林氏は、「すでに運用されていた基幹システムとのデータ連携、iPad のスクリーンに合わせたユーザインタフェース設計の自由度、また、オフラインでも動作する必要があることから FileMaker の採用はベストの選択だと思いました。システム自体のロジックはシンプルですが、今回最も気を配ったのはインタフェース部分です。実際に入力を行う営業担当者の皆さんはパソコンに不慣れなうえ、年齢層も高いため、誰でも使えるわかりやすいインタフェース作りを心掛けました」と開発当時を振り返る。
営業担当者たちが iPad の導入を初めて聞いたときは「北形さんたち事務員の仕事を楽にできるし、りくつなあ(理に適っている)」とは思ったが、その反面、「学校を卒業してずいぶん経っているし、パソコンも使えない私たちが、今から覚えられるかな」と不安もあったという。

iPad 伝票入力システム

寿商会は 1 週間で基本仕様を固め、iPad で画面イメージを確認できるプロトタイプを開発した。その使いやすさやわかりやすさに、営業担当者たちもひと安心したという。
その後は約 1 か月を掛けて、丸友青果からのフィードバックを反映したインタフェースデザインの変更とブラッシュアップを重ねた。結果、わずか 1 か月半で本稼働までこぎつけたのだ。
文字を大きくしカーソルエリアも広く確保。電卓に慣れた営業担当者のために Bluetooth 接続のテンキーも用意した。
iPad の伝票入力システムから基幹システムへのデータの流れはこうだ。
各営業担当者は iPad で伝票入力を終えると、データを事務所のパソコンに送信する。iPad で FileMaker Go の画面から送信ボタンをタップするだけだ。
iPad と事務所のパソコンは Wi-Fi 接続されており、事務所とは別棟の営業部からもデータ転送できる。
事務所のパソコンでは FileMaker Pro がデータを受け取ると事務所のプリンターに担当者別リストを出力する。これを見れば、今日 1 日の自分の売上がその場で確認でき、伝票の付け忘れがないかダブルチェックもできる。
全員の分のデータ送信が終わると、FileMaker Pro から基幹システムに送るデータを準備する。事務員が事務所のパソコンで FileMaker Pro を立ち上げ、ボタンをひとつクリックするだけだ。
基幹システムへの取り込みもメニューから選ぶだけで完了する。これで売上データがすべて基幹システムに入り、経理事務を進められる。

年間 400 万円のコスト削減で ROI 260%

システムのカットオーバーにあたっては、営業担当者にわずか数ページの説明書を配布し、簡単な説明会を開いただけで、特別な研修は一切しなかった。
導入から 1 週間が経っても使い方についての問い合わせは特になかったため、「もしかすると、もう使うのを止めてしまったのでは」と若林氏は危惧したが、実際はその正反対で、インタフェースがシンプルでわかりやすいため、問い合わせるまでもなかったのだ。
営業担当者は全員、カットオーバーしたその日のうちに iPad からの伝票入力を始め、すぐに慣れたという。
「操作は同じことの繰り返しなので、やっていくうちにどんどん早くなって、今では伝票にかかる時間が以前の 3 分の 2 くらいになっています」と、パソコンはもちろん、携帯メールさえしないという営業担当者も、実にリズミカルに入力している。
北形氏は「以前は事務員が基幹システムにデータ入力してチェック作業を完了するまで毎日 2 時間以上かかっていましたが、今ではボタンひとつで終わります。ペーパーレス化で伝票用紙も大幅に減り、事務員の人件費削減と合わせて、年間で 400 万円くらいコストが抑えられています」という。
FileMaker ソリューション開発費用や iPad 購入などの先行投資はわずか 150 万円程で、ROI は 260% を達成した。

次の“夢”の実現に向けて

北形氏の目下の目標は、現在手作業でひとつひとつ対応している “納め物” の納品書や送り状の作成を省力化することだ。若林氏によれば、FileMaker Pro のデータベースに必要なデータはすべて入っているのでかなりの部分を自動化できるという。
「こういうことも iPad にボタンを作ってもらって、一気にできるようになりますか?」
「できますね。FileMaker の利点のひとつは、今動いているシステムを使いながら新しい機能を追加してどんどんシステムを拡張していくことができるところです。」という若林氏の返事に、北形氏は目を輝かせる。
「もしかすると、今は FileMaker のいいところを少ししか使っていないということ?」
「その通りです。もっと自動化したり便利になったりすることがたくさんあるので、ぜひ一緒にお手伝いさせてください」
北形氏は、業務の効率化や合理化を図るだけでなく、新しいビジネスのアイデアの実現に向けて、FileMaker と iPad をますます活用していきたいと考えるようになったという。
「ただ仕入れて売るだけではなく、生産者と小売業者をより良く結ぶ様々な提案をしていきたいと考えています。たとえば、加賀野菜や能登野菜などを生産している小規模農家の作物は、小ロットのため流通にのせるのは難しいのですが、レシピや生産者情報などの付加価値をうちが提供することで販路拡大に貢献できればいいなと思っています。こういった可能性を考えるようになったのも、このシステムを入れてみて、FileMaker ならもっといろいろなことが簡単にできるとわかったからです」
iPad ならばできるかもしれないというひらめきが、FileMaker と組み合わさったことで、活気にあふれる未来が丸友青果には広がった。
この事例のビデオをこちらからご視聴いただけます。
この記事は、2012 年 10 月に公開したお客様事例を再掲したものです。

「クラリス・ジャパン株式会社 ブログ転載記事」